遅れてきたiMac

時は1998年、私はインターネットにどっぷりはまっていた。
とは言え私のメインMacはpowermac4400(603e/200MHZ)で、ことWEB閲覧に関しては家族用に新品で買ったMMX166MHZの「窓95号機」よりロコツに遅かった。
Mac系雑誌には「世界最速のCPU」なんて文字が並んでいたはずだが、どうして200MHZが166MHZより遅いのかなんて万年初心者にはさっぱり理解できなかった。
そこで初心者が至った結論は・・・「appleはウソツキなんだ!」(爆死)

そんな時である。
目も覚めるようなカラーのアレが発売されたのは。
iMac G3-233MHZ、ボンダイブルー。
Mac系雑誌はそろってこのニューヒーローの誕生を手放しで賞賛していた。
ムカツクことに、その価格は私が初めてPerforma575を買った価格と変わらんじゃないか。
パソコンとは「そういうものだ。」とは聞かされてはいたが、当時の私の顔には素直に受け入れられるものではなかった。
しかも私がMacを使っているのはあくまで「趣味」=「お遊び」であって、すなわち「Mac」=「オモチャ」なのだった。
いくらなんでも「オモチャ」に¥10万円以上なんて出せない。
(※注;ちなみにこれは正確な表現とは言えない。単に欲しい「オモチャ」が有り過ぎて、1つのものに「¥10万円以上なんて出せない」のである。)

そうなると「やせ我慢」の理由をこじつけにかかるしか道は残されていない。
曰く、「SCSI付いてなきゃスキャナがつかえないじゃないか。」とか、「今更15インチモニターで絵なんか描けねえよ。」「appleはウソツキだからきっとまたそんなに速いわきゃねぇだろ。」「あんな破廉恥な色、男の道具としてふさわしくねぇぜ。」云々・・・・・・・。
こうして私はiMacを買わなかった。
ここで素直に「買えなかった」と認めておけば、その後の私のMac人生はずいぶん今と違ったものになっていたにに違いない。

iMacはバカ売れした。
それどころかどんどん進歩を始めていた。
当時私はそうしょっちゅうパソ・ショップに出かけていたわけじゃなかったせいか、それこそ見る度にCPUクロックが上がっていった。
「もしかしてこれってとっても凄いマシンじゃないのか?!」って頑なだった心が開き始めたとき、いきなりモデル・チェンジがアナウンスされた。
そう、あの電気スタンドこと新型iMacが!!
実はちょうどその時、狂った人生を真っ当に戻すチャンスは一度だけだがあったのだった。
当時たまたま家族用の「窓95号機」の買い換えを検討しており、家族揃ってパソコンショップに出かけたことがある。
Macコーナーには「新型iMac予約受け付け中!」の文字が踊り、iMac旧の最終型が格安売り切り価格で並んでいた。
これにはさすがに心が動いた。
窓機を新品で買う気で来たんだから、この旧型の700MHZのなら十分対象内じゃないか。
妻に、「ねえ、今度はMacにしない?このiMac700(旧型)ずいぶん安いし。」とお伺いを入れてみる。
妻の返事は「私、やっぱり液晶がいいなぁ。」
・・・・・帰り道「待てない性格」の私の手にはしっかりと「窓Me機」の箱が握られていたのだった。

まあ、ここまではきっとよくある話だろう。

今年になって私はねっとお〜くしょんにハマり、7300改/G3-233MHZを手に入れていた。
長年の念願だったG3マシンは改造機と言えども十分快適だった。
正直言えばそのWEB閲覧はやっぱり窓機には遠く及ばなかったのだが、「ま、いいや。せいぜいこんなもんだろ。」って私にしては珍しくすんなり諦めることもできた。
この後「次はモバイルだよな。」ってことでpowerbookでさんざん「やってもうた!」ことは先に述べたとおり。
それが一段落付いて、家族用の「窓Me機」が不調のため売り払ってG3-266改400MHZを入手。
無理矢理にそれに「ペケ(ジャガー)」をインストールして時代に一気に追いついたかに見えた時、運命の歯車は確実に狂い始めていたのだった。

ある日ヒマでお〜くしょん散策をしていた私の目にそれはとまった。
「iMacグレープ333MHZ、¥10000円ナリ。」
iMacの値段が暴落していることはショップで見て知っていた。
しかし¥10000円だぞ。パチンコ屋にしばしば「貯金」してくる金額じゃないか!
で、当然ながら「やってもうた!」のだった。
届いたiMacはピカピカだった。しかも予想外に恐ろしく快適だったのだ。
7300改がまるでのろまな亀に見えたほど。
ここでやめておけば・・・・・(以下、略)

「今時G3-233MHなのがいかんのじゃあ。」
バカが何を考えたのかと言えば、「7300をG3-333MHZ以上にパワーアップしてついでに『ペケ』も走るマシンにしてやるのじゃあ!」。
何でiMacにライバル意識を燃やさねばならなかったのだろう?
かって自分が無視したマシンのポテンシャルに嫉妬したのであろうか??

だがそれはあまりにも甘いもくろみであった。
これについては別項で述べるが、私は心も財布にも大きな痛手を負うことになってしまったのだ。
ボロボロになった私に分かったこと・・・。
「改造なんかするのはバカだ。そんなものにかけるお金があったら少しでも新しいMacを買うべきだ。」
真実である。これだけは間違いない。ただオマケにもう一つ考えたことがいけなかった。
「簡単に改造できるMacなんか買うからいかんのじゃ!!」

・・・・・おかしい。そういう問題じゃないはずなのに、その時の私はやっぱりどうかしていたのだ。
気が付けばiMacブルーダルメシアン/G3-600MHZをお〜くしょんで落札していた。
届いたそれはトンデモナク美しく、快適であった。
もちろん整備性の良くないiMacを開ける気は当分無い。
第一、それをゲットするために生活費にまで手を付けた私には改造なんかに回す金は¥1円だって無いのだけれど。

哀れ、iMacグレープは電源を抜かれて部屋の隅に置き去りにされた。
しかし金を使い果たしてメモリー増設もできずにWEB専用としてしか使えないならダルメシアンは「まだ」要らなかったんじゃないだろうか?
てぇことはその大義名分のためにダルメシアンにできるだけ早急にメモリーを「やってしもうた!」しなきゃならない現実が待ってるわけでぇ・・・・(爆死)


P.S.
ところでその後iMacグレープだが、WEBで知り合ったバリバリ使ってくれそうな方に差し上げてしまった。
普通なら売るもんだろって?
別に私が太っ腹なつもりはない。
多分それはiMacグレープにしちゃった仕打ちに対する供養のつもりだったのかもしれない。


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